ありす

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      「俺のせい、だよね。ごめん。ありすと居るとすっごく安らいでさ……。つい、ありすに甘えちゃってた。本当にごめん」       てっきり失望されると思っていた私。   謝られるなんて考えてなく、白兎の言葉に驚きを隠せなかった。       「え……? 白兎、怒らないの?」     「どうして俺が怒るのさ。悪いのは俺だよ。ありすに無理をさせてたんだから――…」       そう言い終わる途中に、店のボーイが白兎に近づく。   次のテーブルに移動する合図だ。   白兎は少し渋る様子を見せたが、店には逆らえないのだろう。   ちらりとこちらを見ると「ごめん」と一言残し、テーブルを抜けて行ってしまった。    白兎と代わるように入って来たのは大きな釣り目の男の子、千莎君だ。       「やほーありすちゃん!また元気ないけど……どうかした?」     「ん。ちょっと……ね」       はぐらかすように軽く笑いながら答えると、千莎君は明るい声で私を元気づけるように口を開いた。    
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