クソ小説

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「どうして欲しいの?」 「誉めろよ!もっと」 俺がそう言った瞬間、彼女の豆乳がプクって膨らんだ。 舞に聞かれて突発的に応えたけど、何言ってんだよ俺。 「…ウィルスっていう題材は面白いと思う…それに物語の出だしから、お話の途中を見せる技法も」 「お、おう」 何か急に優しくなったな。 「あと、もしかしてヒロインは主人公じゃなくて、主人公の親友のことが好きなの?」 「ああ。三角関係にしたかったんだ」 「この間、あたしが浮気してるって言ってたもんねー。その影響でしょー?」 また豆乳のパックがプクッてなった。 「ちげーし!関係ねーし!」 当たってた。 舞は時折、文章から筆者の意図を見事に見抜く。 作品を書いた作者の心境や状況まで。 滅茶苦茶な数の本を読んでいるせいか、彼女はそんな特殊能力を持っていた。  
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