一章

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16歳、高校1年の春。 桜の花びらは完全に散り、やさしい緑色の葉桜がサワサワと風に揺れている。 「帆乃!」 自販でジュースを買っている私を見付け、こっちこっちと手をひらひらさせながら紗江が呼んでいる。 次の授業は急に自習になったと言っていたから、多分ふける気だな。 私は了解と無言で頷いた。 体育館の横から回り込む様に進むと外階段がある。そこを昇ると無意味に広い踊場。 1.2m位のコンクリートの塀で囲まれているので、周りからは余り見えない。 誰が置いたのか椅子と机が無造作に置かれている。 .
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