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アイツは一体なんなんだ。新手の嫌がらせか?
“連絡して?”
…一応、携帯は何かあった時のために常備している。無論電源はOFFだが。
「……朱月、か」
いや名前なんて聞いてなかったし。そもそも確かに無関係のアイツの顎にカバンをジャストミートさせた私に非があるとして、嫌がらせをした一味のアイツに何故に私は連絡してあげなければいけない。
「――――絶対しない」
頭は確かに朱月さんの事に夢中であった。別な意味で。
キーンコーンカーンコーン
「おい、水無月」
あ、取り巻き達。
「ちょっと来い」
えー、行きたくない。
「イヤ」
「そ、そこで断るなぁッ!…いーのかよ?………………アレ、バラすぞ」
アレ?いやごめんそんなドヤ顔されてもわからないんです。
「――――中学、イジメッ子をボコってクラス全体から虐められた。………でも、ボコった原因はサァ....たった一人の友達、守るためでしょー…?」
「――――――――」
鮮明に甦る“キオク”。
“氷ちゃんッ!”
“…私は知ってるよ。氷ちゃんが友達思いだって”
“…氷ちゃん、ずっと友達だよね?”
「……来いよ」
「………なんで知ってんの。………なんの関係がッ」
「――いんだよ、この学校に。ソイツ。……知りたいなら来いよ」
取り巻き達はこぞって出ていった。
イヤだ
“ちょっとヤメテよッ!氷ちゃッ…助けッ…!”
思い出させないで
“信じてたよ”
助けた、のに
“もう、無理だね。私達”
―――結局、―何も残らない。
ガラララララ
グラウンドに建ててあった用具入れの小屋。そこに連れていかれた。
「よく来たじゃん。…んなに気になる?その子の事」
「……嘘だ。だって」
「だぁって何?まだアンタ入学して日が浅いのにクラスの奴らを全員覚えた気でいんの?ウケるー」
ホントに、いる?
「…ま、いーや。こんな話をするために呼んだんじゃないし?オラ」
取り巻きは私の背中を強引に押して小屋の中に連れ込んだ。
「気に入らねぇんだよ。バーカ」
不条理な理屈を付けては私の体を蹴る女子達の顔が、…………歪んで見えた。
抵抗はしない。
―――もう、人に手なんてアゲナイ。
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