第一章

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「あ…いや違…っ」  思わず口が塞がった。私はこの男に助けてもらおうとか思ってしまっていた? 「………………」  何を考えている。私と一緒にいていいはずがない。飛び火をさせてはいけない。 ―――私といると、不幸になる。 「違?じゃあ今ドッ」 「関係ない。それじゃあ」  そして私は電話を切った。一旦携帯を折り畳むがまた朱月さんからの着信が来ることを恐れてもう一回携帯を開いた。 ―――――♪♪  案の定。  私はそれを閉じるボタンで強制切断し、電源を切った。わかるわけない。こんなグラウンドの隅っこで長い間使われていない倉庫なんて。 ……それに、もう誰とも関わらない。  自分は傷付いても、他人が傷付く姿を見るくらいなら死にたい。そう思った。 「………………」  汚い地面に横になる。ひんやりしていて気持ちがよかった。目を閉じれば本当に静かな空間だ。人の気配なんてありはしない。  自分は今一人だけ。ほら、そう思ったらなんだか全然ッ――― “氷”  頭に響く声が、私の安らぎの邪魔をする。 “んぁ、もーこんな時間か”  でも、初めてだったな。 “オイッ大丈夫――”  近付いてきて離れない。まるでどこにいっても惹かれ合っている磁石のような、そんな人だった。  まぁイケてる方だったし女たらしらしいし……でも、 “連絡待ってる”  なんで好かれるか、…わかったような気がする。 ―――――ぅ ―――ょう ――――――ひょーうッ!! 「――ひょう!!どこだぁーッ!!!!」 ………え?朱月さん…。 「……………っ」  私は無意識に赤いコーンを手に持ち、扉に投げつけた。無論開くわけでもない。だが ガタァン  音は鳴る。 「…氷!!そこかッ」
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