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「…………ん…」
ボンヤリと気が付いた私。ウッスラ開かれてボヤけた視界は白い天井を捉えていた。
「………氷…?」
覚醒しきっていない耳が自分の名前を呼ぶ声を聞いた。その声は私が倒れる直前まで私の近くで放たれていた声。
「………朱月…さん…」
「……どこか、痛むか?」
「…どこも……」
私は目線を反らした。
「……んなこたぁねーだろ?…身体中痣だらけじゃねーか」
「おまッ…!まさか……!」
ガバッと横になっていた体制から起き上がれば朱月さんの襟首を掴めば顔を真っ赤にさせた。…何故痣を知っている!? 私に何をした!?まままッまさか脱がッ――――!?
「……へっ?あぁあーいやいや、“まだ”何もっ」
「まだって何だよまだって!!」
「……ハハッ」
「………?」
「ハハッ!ハハハハハハハハッ!」
腹を抱えて笑う朱月さんの顔は、心底可笑しそうだった。なんで笑ったかなんてわからないし、私も笑える気分ではなかった。―――数秒前まで。
「――フフっ」
「えっ―――――――――――――」
ただ朱月さんの笑顔が、私の暗い道筋を淡く照らすライトになってくれたような感じがして、何時以来か私は微笑した。
でも私が少し笑えばまた朱月さんは黙ってしまう。唖然と私の顔を見ていた。
「ど、…どうした……?」
「………ぁ、いや……別に」
別にって顔ではなかった。ただ夕日が保健室を照らすせいか、朱月さんの顔が赤く見える。でもソッポを向かれたので表情まではわからない。
「……………虐められてるの…?」
「……………………」
ソッポを向かれたまま問うた朱月さん。まるで壊れ物にでも触るように恐る恐る、弱く聞いた。だけどその言葉は
「……………………関係、ない」
新たな壁となって視界を遮る。誰にも関わらせてはいけない。これは私の問題なのだ。
私が解決しなければいけない―――――
「…じゃ……――な―よ」
「―――じゃあ“消えてなくなりたい”なんて思うなよっ!」
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