24人が本棚に入れています
本棚に追加
チャポン
あの後私は少しだけ休んで帰路に向かった。イヤに朱月さんの言葉が耳から離れない。
「………」
湯船に顔を突っ込む。しかしだからって何も変わらない。
ぷはっ
「………わからない」
接し方が、だ。いや接さなくても大丈夫なのか?
…しかし助けてくれたのもある。一概に無下に出来ない。ならば連絡するか?……………いやいやいや。自分から連絡とか自信ない。
こんな私に何故そこまで思い入れる事が出来るのだろうか。
“氷の全部を守るから”
まるで少女漫画にでも出てきそうなキザッたいセリフだが私は確かに少しだけトキめいたのもまた事実。
「……どうしよ」
私はひたすらにブクブクと口を湯船に沈めた。
―――――――――――――――
キーンコーンカーンコーン
しかし、よくよく考えればクラスも違えば朱月さんにだって友達関係がある。
「おぃ水無月。……テメー一体昨日は誰に出してもらったんだぁ?」
だから気休めだろうか?と思うのもまた事実。
「……自力で」
「嘘付くな。あの木ぃ退かしたのは誰だっつってんだよ」
この取り巻きAはそこまでして私を助けた人が気に入らないのだろうか。
「…………」
黙ってしまう私。取り巻きAが痺れをキラして今にも爆発しそうだった。
「―――おーい、氷っ!」
声が、ドアから聞こえた。
「あっ……朱月……さん」
教室のドアにに朱月さんの姿があった。私に手を振ってこちらに呼んでいた。
「……悪いけど、用がないなら行く」
取り巻きAは唖然と口を開けながらその光景を黙視していた。それは彼女だけではない。……クラス全員が、だ。
バタン
来たのは屋上。そういえばお昼ご飯の時間だった。
「…俺、タイミングよかった?」
「………微妙」
「へっ?なんで?」
バカかコイツは。天然なのか。
「……アンタはもう少し自分の立場を考えるべきだ」
彼は学校一の人気者。女子なら過激なファンクラブもあるという噂で……つまり。
「……アナタが私を守るなんて、無理だから」
もしそのファンクラブや彼が好きな人にこの事を……まぁもう皆が知ってしまったと思うが、―――間違いなく虐めが加速する。
最初のコメントを投稿しよう!