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「立場なんて関係ねーからっ」
「中途半端な事言わないで」
「何が中途半端だよっ」
「何から守る気よ」
「それはっ………虐めから」
「………………」
ダメだ。もう少し頭が柔らかくて回転が速い方だと思っていたが、一概にモテ男が全てそうだとは限らないと、私は学んだ。
「いーい?この学校にはアナタが好きな人が何人いると思ってんの?そんな人気者が私なんかと一緒にいたらどう思うの?…少しは考えなさい」
「………もしかして、妬いてる?」
「バカッ」
ダメだ。核心を言っても上手いこと回避されてしまう。……先を見ることが出来ないのだろうか?
私はお弁当を出してフタを開けた。
「ほぉー、今日は中華ですか」
隣から覗き込んでくる朱月さん。
今日は、メインディッシュはやはり麻婆豆腐。中辛にしてご飯には頼もしい相方。そして餃子とシューマイ。そして野菜を各散りばめる。
「バランスとか考えてたりする?」
「当然」
食べ物は摂取する形や量で体調が左右される物だ。ご飯を食べれば脳の回転が速くなり、野菜で栄養素を取り入れる。
「麻婆とか旨そうなんですけど」
「………一口」
「ヘヘッ、サンキュっ!」
昨日はこの会話でハンバーグを与えた。
「……ん、やっぱうめっ。料理とかやっぱ家でもすんの?」
「ん…、ウチの母は母としての機能を維持していませんので、私が全般を担ってる」
「機能って…、じゃあ父親は?」
来ると思っていた質問だ。
「…父は、表沙汰となった不倫に離婚して家を出ていきました。」
「………………」
うわやった、みたいな顔をした朱月さん。
「あー…まぁ色々あるよな、うん」
わかりやすい慰め方だった。
「……わかりやすっ」
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