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「………それこそ無理だ。特にアンタみたいな人には一生かかっても」
人の痛みを知らない輩がどうやってその人を助けたり、笑わせたりする事が出来ようか。…性格も待遇も全て真逆な奴に。
「…なぁ、どうしてそこまで人を避けんの?」
「………嫌いだから」
「全員?」
「…………ん」
そこまで追究されたらわからない。ただ中学の虐めが体を、頭を覚えている。………人が、怖い。
「……そっか」
会話はそれで途切れた。朱月さんの顔も見れない。……雲だけが動いている。
「……俺の事は、信じてほしい」
そう言った朱月さんはその場から立ち上がって屋上から出ていってしまったのだ。
「……信用なんて……出来ない」
人が怖い。傷付きないし傷付けたくない。見ただけじゃそれがわからないから尚更。
「…………わからない」
人との距離がわからない。接し方がわからない。……きっと朱月さんとの距離もわからないままだ。
――――――――
「……………」
辺りは夕暮れ。放課後、授業ノートを職員室に持っていくという大役をこなした私は鞄を取りに教室に戻った。
――――氷ちゃん。
そんな私の真後ろから。
「――――え―」
懐かしい声をさせた。
「………中学校以来だね」
「…………………………………真子(マコ)……」
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