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今は高校生。我ながら変わったことと言えば虐める側の人と手段くらいだと、思う。
流す涙なんてない。誰も信用もしなければ頼りもしない。
―――自分は、一人だ。
いつも通りの服装をして学校に向かう準備をした。濡らされた制服は乾燥機に掛けておいてアイロンしておいたのでなんとかなった。
「……ま、どうせ意味ないか」
こんなヤンチャする奴は連続して試みる傾向がある。……手間がかかる。
「…レインコート、常備すれば...」
いや、不自然か。没収される事請け合いだ。
「……ダメか」
登校中にそんな事を考えていれば後ろに騒がしい男子達が位置付いた
「なぁなぁ…アレ、水無月だよな?」
金髪の男子が囁いた。腰パン、シャツだ出しとガラ悪い要素満載だ。
「アイツ、なんて呼ばれてるか知ってるか?」
「あぁー知ってる。……のっぺらぼう、だろ?顔変わらねぇし声とか聞いたことねぇし、髪とか黒髪で腰までって…逆に言やぁ幽霊なんだけどな?まー割愛でっ」
チャラそうなこの男。茶髪でちょっとしたソバカスがチャームポイントかと
「…………へぇ。」
そんな男子の中にいた一際カッコイイ男子。近くを通る女子が全員注目していた。黒髪はみずみずしくツヤがあり、癖があるようにモッサリ気だがそれがファッションであるかのように整っていた。
「……………」
のっぺらぼう。私のあだ名らしい。幽霊と割愛って…のっぺらぼうは立派な幽霊だ。
…っとツッコミを入れたいが割愛してやる。少し早歩きになった。ウザイから。
「お、速くなりやがった。……おぃ、ちょっとからかってやろうぜ?」
「ヘヘッ…ガッテンっ。
礼兎ぉ?オマエは来ねーの?」
三人いる中の一人は礼兎言うらしい。
「いや、俺はいーや。興味ねーし」
「ま、モテ男は違うよなぁー…行くぜ?」
「おぅ」
男達二人は歩き出した。意地悪げな顔を浮かばせながら氷に近付いていく。
もう少し声を押さえる事が出来ないのかお前らは。全部聞こえてるんだよ。
氷は早歩きながらもそこまで距離を離す事は出来ずにいた。
「ヘヘッ……」
不気味に笑いながら両脇を通り抜けた男子達。いや、歩調を合わせて来た。そして――――
ガッ―――
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