第一章

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 学校に付いた私。靴箱の扉を空けて上履きを取り出そうとした。 「……やっぱり…なっ」  上履きは確かにそこにあった。しかし中には砂がたぷたぷと入れられており、画鋲が散りばめられている。……んー、レベル2だ。 「よくやる……」  こっからグラウンドまでは結構な距離がある。纏まった砂はグラウンドくらいまで行かなければ手に入れる事は困難だろう。  画鋲だって職員室から持ち出さなければいけない。 「……ホント、よくやる」  砂をグラウンドまで戻して教室に行く途中職員室に寄り画鋲を返却すればそのまま真っ直ぐと教室に向かい、ガララと音を立てて教室に入った。 「………………」  尽きる事のない話し声。笑い声。私の席には一見何も施されていないように見えるだろう。しかし 「………」  机の中に入れられていた「シネ」「きめー」「邪魔」などと殴り書きされているノートの切れ端。毎日ファンレターの如くあるこの紙も、もう飽きた。  中学ならば例え先生にもわかりやすいように机の上に花瓶を置かれていたり、落書きの山などを施されていた。  そして先生が犯人捜しを無論しようとするが “アレは水無月さんの自作自演ですぅ”  などと言う“馬鹿げた”発言を信じ、先生までもが敵に回った中学時代よりも更に陰湿になっている。  …猿にも知恵が着々と付いていると認識した。  まぁこんなのはモーニングアップだ。 「水無月さぁん?一緒にご飯食べましょう?」  取り巻き達を背後に備えながら私に歩み寄るこの女性は家がちょっとした資産家で所謂金持ち。  金の力で並大抵の権力を持つものだ。逆らうと反って立場が悪くなるのは明白だ。しかし 「イヤ」  私はあえて抵抗している。 「玲子さんのお誘いを無下にするのか水無月ぃ?」 「テメーまだ自分の立場、わかってねーみてぇだなぁ?」  うるさいぞ取り巻きども。 「まぁよろしいではないですか?水無月さんにもきっと、仕方ない用事があるのですよ。――――放課後にねぇ?」  優雅に背中を向ける前に意味深げにそう言えば玲子さんとやらは去っていった。まただ。 「……今日もか」  昨日もあのフレーズを言われた放課後にトイレに拉致られて水を被された。 「……やはり、レインコート……」
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