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実は楓が中学時代に所属していた卓球部は厳しかったため
日常生活でも顧問に怖じけづきながら過ごしていた。
高校は自由きままに
楽しみたいと思っていたから
楽しいこともたくさんあったが
その分、辛かった思いでも染みている卓球を続けるつもりは無かった。
無いはずだった。
だが去年の夏この明保野(アケボノ)高校の
オープンスクールで
楓が体験した卓球部は
凄く感じがよく
楽しそうで惹かれてしまった。
やはり楓の中で卓球が好きという気持ちは強かったのだろう。
楓は無意識に見覚えのある先輩の顔を見つめる。
(あれっ……?)
だがその先輩達は
楓に気付く様子もなく
ましてや勧誘のプリントすら
差し出してくれなかった。
(そりゃ覚えてないよね。)
確かにあのオープンスクールの時には
たくさんの人がいた。
いちいちどんな子が来たかなんて覚えているほうが凄い。
自分自身に言い聞かせたが
少し悲しかった。
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