297人が本棚に入れています
本棚に追加
先ほど上がったテンションが嘘のように下がっていった楓が背中を丸くして
とぼとぼと
坂道を登っていると
「山中さんッ!?」
聞き覚えのない声に
名前を呼ばれた。
驚いて振り返ると
先程見つめていた
先輩が目を丸くしている。
「山中さんだよね!?」
「佐々木さん!」
佐々木さんというのは
中学時代に
楓と同じ地区だったため
よく試合会場で顔を合わせていた人だ。
だが落ち込んでいた楓にとって話しかけてくれたことが
よほど嬉しかったのだろう。
楓は思わず人の流れに逆らい
登ってきた坂道を
一気にかけ降りた。
_
最初のコメントを投稿しよう!