34人が本棚に入れています
本棚に追加
(…キョウちゃんと、一緒にいられなくなるのかな…? そうだったら、私入水を…)
「凛香、気持ちは分かるが、早まるな。それで悲しむのはみんなだと思うぞ?」
「えっ…あ、うん。そうだよね! (前向き前向き! カレンなんかに、負けない!)」
とうとう呼び捨てか。皆が読心術を会得していれば、話さずにすむんだがな…世の中上手くはいかない。
「………はぁ。(あの理事長…セナ君をたぶらかしたり、胸で惑わしたりしないかなぁ…そりゃ、私だって幼いですけど、少しぐらい…)」
「………自己規制だ」
「??? どうしたんですか、先輩?」
理事長の淫らな攻撃があるかはともかく、プライベートまで突っ込めん。春美も女子なのだな。
「いや、何でもない。っと…セナのマンションが見えてきたぞ、あれだ!」
無闇に心を詠むのは好かない。金輪際、何かがある時まで詠まんぞ。
前では待ち疲れの麗佳がいる。セナの姿を見た瞬間、広明にニーキック。
「ごはぁ!」
「お・そ・い・の・よ・!!! どれだけ待たす気?!」
罵倒されるも、反応なし。当の広明は、痛さで転げ回っていた。
「磁力電車じゃ、君の戦闘機にはかなわないよ。遅れるのは当たり前だ」
「ん…言われてみればそうね」
「気付いてなかったの…?! 感覚が薄いというか、金銭感覚がないとか…レイちゃん凄いね」
「え…ええ、セナに言われたら…いやいや、当たり前よ! (金銭感覚はある方だと思うけど…)」
嘘を見るというのも…辛いときがあるな。苦し紛れに笑う麗佳が、何故か悲しい。そう思うのは、恐らく僕だけだろう…
「それより…一体、何があったのだ?」
「そ…そうだよね…僕、気になる…」
麗佳は情報を構築した後で、言葉を発した。
最初のコメントを投稿しよう!