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「特徴が合っているにしては…何か違和感があるよ。極端に言えば、広明。君は宝石なんか着たりはしないよね?」
「ヘドが出るぜ」
うーむ…言われてみればそうだ。コイツは家族のせいで、金嫌いになっている。
当然こういう、いかにも金持ちという風な格好はしない。
「それと、春美ちゃん。君はメイド服がお気に入り…今は制服だけどね。…それに、フリフリが付いた可愛いやつだよね?」
「えぇ、そうですね。無いとおちつかい…って、偽者の私、フリフリが付いてない上に名札が付いてませんよ!」
「更には鎮のクセ、フレームいじりをしていない!…見えたよ、この偽者の法則が…!」
…僕も分かった。コイツら、一見してみると顔は同じだが…服装やクセが変だ。細かいところを、表現しきれていない。
「そうね…言葉のクセと言うのかしら? それぞれ、一人称を表す表現が違っていた気がしたわ。セナだったら…『僕』、『乱暴な言葉は使わない』…とか」
「もしや…天の邪鬼かな? ほら、思っている事と逆に行動するっていうね♪」
「は? オタマジャクシ?」
貴様の耳は、言葉自動変換器か! 毎度ながら、頭が痛くなる…
「妖怪だ、妖怪! つまり、本物の性格が、偽者の性格で逆になっていると言うことだ」
「セナ君だったら…一人称『俺』、『乱暴な言葉を使う』…と、こんな感じでしょうか?」
「うむ。これで性格が逆転した偽者が、本物と偽って暴れた……許すまじ、影武者…!」
それは本物と成り代わる、生け贄だ。意味が違う、将希よ。
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