CODE:∬(2) 秩序=校則

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紅蓮の炎が身を焦がす。必死に煙の中をかいくぐり、外に出た。 「うぅ…あぁ…」 バタン! 膝をつき、そしてうつ伏せになった。体は鉄のように硬直し、支えることはできない。 …生きている。けど、身体中が痛い。怪我をしている上に、火傷を負った… 回りには人だかりができているようだ。僕に手を貸してくれる人は…誰一人、いない。そればかりか… 「テメェ…よくも鉄棒をばらまいてくれたな!」 倒れている僕を、胸ぐらを無理矢理掴まされ、起こされる。宙吊りにされる。横に振りながら、かすれ声を出す。 「僕じゃ…ない……です…」 「あぁ? 何を抜かすか! おかげで、家が建てるの遅くなるじゃねぇか!」 「う…ぅ……」 怒る大工さんに涙で返す。また僕の力不足で…また…迷惑を… 「泣きゃ済めば良いと思ってんのか! 見ろ、この商店街を経営してる人達の、怒りを!」 片手で宙吊りにされたまま、怒れる人達に突き出される。批判の声が…聞こえる… 「よくも、小麦粉を盗んだ上に、派手にやってくれたな! 修理代と代金は、キッチリと払ってもらうぞ!」 「それに、私のアクセを返して! 盗んだの…英雄さんでしょ!」 「俺の店が…粉塵爆発で台無しだ! 何が英雄だ! 名ばかりで、何にもやっちゃいない! 責任は取ってもらうぞ!」 「ごめん…な…さい…だけ…ど……」 大工は僕を自分の方に向けると、睨みながら罵声を浴びせる。 「謝って済めば、警察は要らねぇ! だけど、何だ?!」 「……僕じゃ…ない…偽…者が……やった…んだ…」 バキィ…! 容赦ない大人のパンチが、全身を貫く。僕はただ、体で払うだけ。再度、胸ぐらで体を起こさす。 「謝ったら、次は僕じゃありません? ふざけるなー! もう、決めたぞ! 警察に連絡しろ! 大至急!」 大工は手を後ろ手にし、ロープで縛り付けた。僕はただ… 「み…んな……ごめ…ん……」 自分の力不足を、悔いていた。
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