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私は…必死にセナ君の手を握っていた。寂しさからや、悲しさで自然に掴んでいた。
私がここにいられるのだって、全ては彼のお陰。もし、彼がいなかったら、今頃は存在抹消されていた。
最近、思うんだよ…私は、クローン。複製された、コピー…
ここにいる事は、本当に正しいのかって…『存在証明』は成されないのかな…? って。
「…こんな状況だけど…質問していいかな…?」
リンちゃんは、ベッドに腰かけて彼の左手を握りながら、そう言った。
「何でしょうか…? 答えられる程度なら、お教えします…」
「うん…ハルちゃんって、いつもキョウちゃんの傍にいるよね? 居住も同じだし…何故かなって…」
私がセナ君といる理由…それは、やっぱり…
「…私の『探している人に似ている』からでしょうか? 特に…なでなでされるところ…」
もじもじとして、セナ君を見つめる。彼は本気じゃないけど、私は…いつだって本気。歳が小さくたって、私も女の子だもん…
「ふーん…こんな感じかしら?」
「あっ…」
レイちゃんの手が、私の頭を撫でる。そう…感じは違うけど、こんな感じ…すぐに顔を真っ赤にさせた。
「ふふ…不謹慎だけど、可愛いわね。アンタ…嫉妬したいくらい」
「…でも、嫉妬は時に刃にもなります。気を付けてください…」
「ふ………蛇足だけど」
レイちゃんは撫でるのを止めて、椅子に座った。
「…私がここにいる理由は、あくまでもそこの馬鹿の為よ。仲間…この五ヶ月で、私もその意味を知った。…悪くないわね」
「セナ君が仲間を重んじているのも、裏切りとか…『死』というのを恐れているからなのかもしれません…」
「それ…どういうこと?」
私には何となく分かる気がする。ただの勘だけど…分かる。
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