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「君、一緒に来る?」
しばらく経って落ち着いた彼…栄太郎が少しばかりか思案した後、ふと唐突にそう言った。
「は?」
あまりの唐突さに、少女は思わず口をあんぐりと開けた。
(…こやつは
何を言っとるんだ?)
「だから、君、気に入ったから、一緒に来なよ。」
そう言う彼は、微笑みながら少女へと手を伸ばす。
しかし少女は困惑した。
妖怪である自分に、目の前の男は何を言っているのか。
(恐れもせん瞳で…)
妖怪の力を手に入れたい。ただそれだけしか考えていない人間のような悪意も感じられない。
ただその瞳はまっすぐで、少しばかりの好奇心のみを映し出していた。
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