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男の子の診療中、廊下で待っていた紗枝の元に、母親とみられる女性が駆け寄って来た。 「あ、あの、優太は?」 「今中で看てもらってます」 「あなたが連れて来てくださったの?」 「えぇ、まあ…」 ありがとう、と言って、男の子―優太の母親はにっこり笑った。 "ありがとう"なんて、久しぶりに聞いたな。 そう思うと、紗枝はなんだか恥ずかしくなった。 「あなた、お名前は?」 「紗枝です。」 「すてきな名前ね。私のことは咲紀って呼んでね」 咲紀は優太のことも話してくれた。
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