-第2話-

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多分、夕方の朱に染まっていなければ、俺の顔色が杏に見えてしまうだろう。 杏も、顔を伏せたままこちらを見ようとしないのは、恐らく同じ。 ……やべぇ……意識しちまった…… 隣を歩く杏から、わずかに鼻腔をくすぐる香りが漂い着く。 伴う記憶も、今なお鮮明に。 ……柔らかかった……な、良い匂いもしたし…… 痺れは、取れていないのだろう。 ……もう一度…… 突き上げる衝動。 ……杏…… 杏「……っ……」 欲に任せた身体は杏の手を握り、向けられたその瞳を見つめる。 ……解ってる、これは…… ……これは、欲に溺れてるだけだ…… 『想い』何て無いのかもしれない……ただ、あの快楽にも似た感情に溺れたい…… ……杏……なぁ……杏――
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