-第1話-

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商店街の入り口前にある広場に、待ち人はいた。 この場合待たせ人かもしれないが。 朋也「わりぃ、ちょっと遅れた」 大して悪びれもせず放った言葉に、そいつは何時もの怒号にも似た声ではなく、ただゆっくりとこちらを向いて。 ?「ちょっと……ね、私も『ちょっと』待っただけだから、ちょ~……っと痛い目に遭うだけで済ませてあげる」 憤怒に満ちた笑顔で構えるのは、もはや見慣れた英和辞書―― ――実際、待ち合わせ時刻より40分近くは遅れてしまっていた。 それは素直に俺が悪いだろう。 朋也「けどな、杏。 幾らなんでも、待ち合わせに1時間早く来てたのは他ならぬお前だろうが」 杏「う、うっさいわね、仕方無いじゃない……勘違い、そう、勘違いしてたんだからっ」
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