-第1話-

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――その後、終始ご機嫌な杏に引き摺られる様に、商店街を回り、杏のお気に入りだと言う場所に連れられた。 朋也「所謂捨て子みたいなもんか」 杏「まぁニュアンス的にそんな所なのかもね」 其所は、ボタンと出会った場所だと言う。 雨に震える小さな命、それを見過ごさずに助けた杏。 駆け回るボタンを見る目は、とても優しく…… しかし、ふと寂しさを湛え。 朋也「どうした?」 思わず出た言葉だった。 杏はこちらを向く事もなく、ただボタンを眺めながら、ため息を落とす。 杏「最近、椋がさ……」 藤林がどうかしたのだろうか、勝平と別れたとでも言うのか? いや、この前会った時にはそんな気配は微塵も…… 杏「勝平との話ばっかすんのよ」 朋也「いや、いいだろ、別に」
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