No.2 とても素敵な退院祝い

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 俺の勉強机が置かれていたスペースに、可愛らしい黄緑色の掛け布団の掛けられたシングルベットが置かれていた。  そして、そのベットの上の新しい枕の隣に、何故か俺の枕が置かれている。  ……何を考えている。 「サトルのお母さんが買ってくれたんだよ」 「…………」  準備は済ませてあると言っていたが、まさか住み込ませる準備にベッドまで購入していたとは……。せいぜい今月の振り込みが少し多いくらいだろう、程度に考えていた俺には予想しきれなかった。  というか! 同じ部屋で寝るのかよ!?  気が付いた疑問を叫ぶような勢いでミカに訊こうとしたが、何とか言葉を飲み込んで、出来るだけ落ち着いた風を装って訊いてみた。 「……ミカはこの部屋で寝ることに、抵抗はないのか?」 「うん。無いよ」  俺の質問に、ミカが即答する。 「……男と女が同じ部屋で寝るんだぞ?」  そこに少しも抵抗が無いというのは不味いだろう。  神に年齢や性別が関係あるかは分からないが、ミカの見た目は中学生くらいだ。話している態度も容姿と釣り合いが取れている。普通に考えれば思春期真っ盛りの年齢だ。  そんな少女が、男女を意識しないというのは変だろう。 「サトル? ……いやらしい事でも想像してる?」 「ば、バカッ。そんなんじゃないからな!」  ミカの言葉に咽せそうになりながらも、何とか否定の言葉を吐き出す。  急に何を言いやがるんだっ! ……くっ。動揺したせいで、顔が熱い。 「顔が赤くなってる。私、サトルなら良いよ。むしろウェルカムって感じかな」 「歓迎するな! 俺は遠慮させて頂きたい」 「こんな美少女の誘いを断るなんて……。ハッ! コッチなの!? コッチなんだね!?」 「自分で美少女とか言うなよ! というかコッチって何だよ!? コッチって!」 「……女の子に言わせるのが趣味?」 「違うッ!」
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