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「ここにはライオネル軍はいないみたいだな…」
ラムザは船着き場付近で周りを見回す
荷物を運び船へと詰め込む人々、船賃について妙にもめているような雰囲気の人々、これからどこへ出るのかわからないが、よそ行きの服を纏った人々……
よし、先を急ごう。
そう思ったとき、荷台車がラムザの目の前を横切った。振り向きざまだったのでラムザはびっくりして立ち止まった
「危なかったなぁ」
ムスタディオがそばに居たら笑われていたかもしれない。そう思って顔を上げると、考えてもなかった、しかし、ずっと考えていた人物が目に入って名を叫んだ
「ディリータ!」
念のためまた荷台車が通過しないか確かめてから彼に歩み寄った
「危うく情けない場面を目撃するところだった」
「ちょ…見てたの?」
肯定も否定もせずディリータはラムザを横切って歩き出す。ラムザは何も言わない相手にムッとするもディリータを追うように歩く
「どうしてここに?」
「オレたちの情報網を甘くみないでもらいたいな」
「俺"たち"?」
途中、展望塔がよく見える位置にディリータは立ち止まる。自然とラムザも立ち止まる
「悪いことは言わない。イグーロスへ戻るんだ、ラムザ」手を差し伸べられる。こちらへ戻ってこい、と
「…ラムザ、これ以上首を突っ込むな。王女のことにも、聖石のことにも」
差し伸べられたディリータの手を握りたい。けど、それは、今は、意味が違う
「君は何を知っているんだ?」
ラムザの話し出した言葉にディリータは差し伸べた手を引っ込めた
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