1戦目

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公立、桜高校野球部。 公立校ながら甲子園出場経験もある野球の名門校。去年は惜しくも県大会決勝で敗退しているが今年は違う。 「……よし」 俺の名前は佐野勇気(さのゆうき)。 この春、桜高校に無事入学した。 中学では中々の活躍をして、野球の強豪校にもスカウトされたけどそれは蹴った。 だって、ここの高校には。 「こら、いつまでボケッとしてんだ」 「!」 べしっと頭を後ろからはたかれる。 「和樹先輩!」 「相変わらずだな、勇気は」 ……俺の憧れの和樹先輩がいたから。 「す、すみません!」 「いーから、いーから。一年はさっさと走ってこい」 「!はいっ」 伊東和樹(いとうかずき)先輩。 俺と同じ中学出身でシニアのチームも同じだった。 和樹先輩のポジションはサード。 野球の技術は勿論のこと、後輩の面倒見も良くて皆、和樹先輩を慕っていた。 俺の夢は和樹先輩と甲子園に出場すること。 ……絶体に、叶えてみせる。
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