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練習が終わって、俺はグラウンドを見渡す。
これから三年間、お世話になる、大切なグラウンド。
ぺこっと深く、お辞儀をした。
「あれ佐野くん、まだ残ってたの?」
「!マネージャー」
……の。
何先輩だっけ?
それよりも。
「俺の、名前」
もう、覚えてくれてたんだ。
「あ、私ね、人の名前覚えるの得意なんだ」
「そうなんですか」
やべ。今日自己紹介したのに、全然覚えてない。
「佐野くんさ、まだ入学する前、和樹とここでキャッチボールしてたでしょ?」
「え、は、はい」
「それで帰る時、グラウンドにお辞儀してた」
「……」
なんと言うか、癖というか。
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