『トイレのバナ子さん』

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「トイレのバナ子さんなんているわけ……!」 俺はくねくね紬の言う事を若干?気にしながらトイレへ向かった。 ガチャリ。 何時ものように俺はトイレへIN。 その瞬間俺は自分の目を疑った。 「チェキラ☆」 日本人形のように黒く長い前髪パッツンの色白で小柄な女が、片手に何故かバナナを持って大きく冷たいイメージの瞳でウインクしてきた。 男子便所に女がいる……。 いや、うん。 普通に考えたら可笑しいだろ。 一応、ここは男が用を足すとこだぜ。 いや、待てよ。 紬系の奴か? しかし、今時珍しい真面目な雰囲気だ。 きっとクラス委員とか生徒会とかやってたんだろうな。 ……ま、俺の勝手な想像だがな。 「何かいらっしゃるぅぅぅ! ってか、男子便所で何でバナナ食ってんだよ!」 驚いた俺は腰を抜かした。 だって……。 だってよく見たらさ彼女、足が浮いてるんだよ。 しかも何か悪寒に近い変な感じするし……。 本物の……。 ゆ う れ い ?! この瞬間、俺の尿意は何処かへ行ってしまった。 だから言ったんだ。 『バナ子さんの話はやめとけ』ってさ。 「うるさい。 あー、うるさい。」 女はバナナを持ってない方の手の指で耳栓をして眉間にシワを寄せ、露骨に嫌そうな顔をする。 「ごめんなさい。」 反射的に俺は謝る。 いや、俺何かしたか? ……あ、叫んだか。 「ペロペロ……。」 俺をジッと見つめたまま女はバナナを舐め始めた。 その舌使い……。 ゴクリ……。 俺は思わず生唾を飲んだ。 物がバナナなだけにエロいよ。 エロすぎるだろ。 俺がナニを想像したかは……秘密。 「貴方達の話筒抜けよ。」 女はバナナを舐めるのを止め、俺に話し掛けてきた。 「君がバナ子さん?」 色んな意味で震える手で女を指差した。 「貴方達にはそう呼ばれてる。」 冷たい瞳で女……バナ子は俺を見つめる。 どことなく憂鬱そうな瞳は女のミステリアスな雰囲気をより強くしている。 「何でここでバナナ食べてるの?」 第一の疑問。 幽霊なのにバナナを食べてるかより、何故トイレでバナナを食べているかの方が俺的には気になる。
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