嘘と嘘

14/17
前へ
/266ページ
次へ
「早っ、もう飲んでるし~」 店に入ると 一番右端に座る彼に言った。 「まだ一杯目だぜ~ レイ遅いしっ」 私が声をかけたのは マサヤ。 同じ高校の隣の科に通う彼。 彼はショウの友人でもあった。 前に一緒に飲んだ事もあるし ショウと別れてからは 学校帰り 車で送ってくれたり 自連でも何度か会ったりした。 なんとなく… 私に好意があったのは 感じていた… なんとなく 私は気付かない振りをし続けていた… 「今度飲みに行こうぜ」 そう言っていたマサヤの提案で 今日の飲み会は開かれたのだ。 全員 彼氏、彼女のいないメンバーで… プチコンパ的な… 私も… 彼氏は… …… …いないか… 場は盛り上がり アヤも、友人もそれぞれ マサヤ以外の子と 珍しく 良い感じになってきた… 私も マサヤは格好いいとは思っていたけど… でも… ねぇ… …でも… 「俺、レイの事狙っていたのによ~」 「マジ~!?」 突然きりだした マサヤの言葉に みんなが笑う… 「でも、マサヤって、 ショウと友達でしょ?」 アヤが聞く 「もう別れたから良いんじゃないか?」 マサヤは私の顔を見て笑った。 『マサヤ…みんなの前で 言っちゃったよ』 心の中で笑う。 悪い気はしないけど… …けど…? そんな話に盛り上がる中 タイミング良く カバンの中から音がした… 「ちょっと電話~」 「レイ、逃げるのかぁ?」 立ち上がった私に 誰かが言った。 「違うよ~」 笑いながら逃げる。 私のポケベルを鳴らしたのは… …龍ちゃんだった…
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

378人が本棚に入れています
本棚に追加