嘘と嘘

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「もしもし?龍ちゃん?」 お酒のせいもあり 龍ちゃんからの連絡に少しテンションが上がる。 「お~今、大丈夫か?」 「大丈夫だよ~♪」 「もしかして飲んでた?」 すぐに私の口調に気が付いた。 「うん、飲んでる~」 居酒屋は 龍ちゃんの家から そう遠くはない所だった。 「飲み終わったら 迎えに行こうか?」 「良いの? やった~嬉しいっ」 「お前酔ってるだろ?」 珍しく素直な私に 龍ちゃんは笑った。 「じゃあ、帰る時 連絡しろな」 「うんっ」 「あんまり 他の男の前で酔うなよ」 んっ…?…バレてる?… 何にせよ 心配してくれる彼が嬉しかった。 電話を切り テンションが上がったまま 席に戻る。 ニヤつきながら戻った私に アヤはすぐに気付いたようだった。 「龍ちゃん先輩?」 小さな声で聞いてきた。 「当たりっ」 2人顔を見合わせて笑う。 そして時間は過ぎ 閉店間際… なんと アヤも 友人も それぞれ男の子に送ってもらう事になっていた。 『まぁ…自己責任だし…』 帰る支度をする みんなを見つめる。 お会計を済ませ 私は 急いで龍ちゃんに電話をかけた。 「信号の所で待ってるな」 そう言って電話を切った。 すると みんなと同じように 私と帰れると思っていたマサヤが聞いてきた。 「家どこ?」 「あっ…迎えが来るから…」 「マジでっ? 何で?」 『何でって言われても…』 困る私の視線の先に 龍ちゃんの車が止まるのが見えた。
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