嘘と嘘

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彼は 何も聞いてこなかった。 アパートに着くと 「はい、酔いさまし」 そう言って 麦茶を入れてくれた。 「ありがと~」 さっきの焦りもあり カラカラだった喉に染み渡る… 少し冷静になり さっきの状況を思い出す。 『私が他の男と居ても平気なのかな…』 何も聞かない彼に 急に不安が押し寄せる。 隣に座ってタバコを吸う彼に もたれながら聞いてみた。 「さっき…ごめんね」 「何が?」 「さっきの子に 一緒に帰ろうって言われちゃったよ」 そう言って笑ってみた。 「あぁ…」 思い出したように 呟く彼。 「あいつと帰っても良かったのによ」 笑って そう返された… 「…イジワル…」 すねる私を見て さらに笑う… 「…龍ちゃんが…いいもん…」 そう 小さく呟いた 私の顔を見て彼は言った。 「お前 少し酔ったぐらいが良いよ」 「じゃあ、毎日お酒持ち歩くよ」 私も笑みがこぼれる。 「あぁ、毎日二日酔いだけどな」 2人で笑いながら 彼は優しく私をベットに押し倒した… …かなわない… …彼には… きっと 私にヤキモチを妬く事なんて 絶対にないんだろうな… そう思った… 私が誰と飲んで… どんな男といても… この日… 龍ちゃんは いつもよりたくさんのキスと 快感を私にくれた… 相変わらず 途切れ 途切れの連絡を繰り返しながら もうすぐ… 私は卒業式を迎える…
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