赤い痕

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アオゲバトウトシ… 「レイカっ 髪、スプレーで直してきなさいっ」 卒業式の朝 生徒指導のオバチャン先生から 白髪染め用のスプレーを手渡される。 「アイツ 自分用の持ってきたんじゃん?」 当時 茶髪だった私は 友人達と笑いながら トイレへ向かった。 特に就職先も決まらずに 卒業式を迎えた。 みんなと会えなくなる訳じゃないし… 学校にも卒業出来る程度にしか 行かなかったので あまり思い入れもなく もちろん涙なんて出なかった… それよりも その夜に開かれる 卒業パーティーの話で友人達と盛り上がっていた。 龍ちゃんは… 来るわけないか… 2年前 今の奥さんであろう彼女の卒業式は 『もし龍ちゃんが来たら…』 彼女を想う彼を見るのが嫌で 当時1年生だった私は 出席しなかった… 彼は 2年前… 卒業式に来たのだろうか… 彼女に 花束はあげたのか… どんな言葉を送り どうやって祝ったのだろう… 『おめでとうぐらい…言ってくれても良いのに…』 また 鳴らないポケベルを見つめる… 卒業式は何事もなく終わり 後輩達からは たくさんの花束をもらった。 その夜 私は真っ赤なスーツに身を包み 精一杯のおしゃれをして 友人達とホテルの会場へ向かった…
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