赤い痕

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ポケベルに表示されていたのは 見たことのない番号と カナ入力された 『マサヤ』 の文字だった… 「卒パの後…」 飲み会のあった日 そう彼に告げたのを思い出す… 『…連絡するか』 クラブの大音量の中 電話BOXから 表示された番号を押す… 「もしもし?」 少し酔ったマサヤの声… 「レイだけど…」 「今どこ?」 「えっと…3次会でクラブに来てるんだ」 「どこかで待ち合わせしようぜ」 クラブミュージックにかき消されそうな声を 何とか聞き取る… 『…まぁ、いっか…』 自分から今日と言ったし… かなりお酒の入っていた私は そろそろ帰ってもいいかと思っていた… …マサヤと落ち合う場所を決めた。 友人達に別れを告げ タクシーに乗り込む… まさか マサヤに会いに行くなんて 誰にも言えなかった… タクシーの中は クラブと違って やけに静かで 何となく寂しさを感じた… カバンからポケベルを取りだし もう一度 画面を確認する… 龍ちゃんからの連絡は… やっぱりなかった… タクシーを降りると 先に着いていたマサヤが歩いて来るのが見えた…
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