第一幕 竹林でお会いしましょう

13/21
前へ
/120ページ
次へ
「では鳥さんは『タカマル』で、モグラさんは『モグさん』で……」 名前に統一性が無い。が、何か動物二匹は喜んでいた。 「そんな訳で旦那、こんな能力持ったまま外の世界なんかに戻れば混乱は必至。親に迷惑をかけたくないのならここで暮らすのがベストっすよ?」 「あ、う……確かに、父さんに迷惑かけるのは良くないですね。そうなると元の世界に帰るのは諦めるしかないのだから……」 裕理は色々と納得したのか、一人で考え込んでいる。何となく分かってきた……正確には『分からない』事が分かってきた。 大沢裕理、彼は何処か歪んでいる。他人の事は心配するが、自分自身には無頓着過ぎるのだ。 やがて裕理は考えがまとまったのか、ようやく口を開いた。 「住み込みで働ける所を知りませんか?」 こうして人里に新たな住民が加わった。だが、まだ私は知らなかった。 彼の存在が、私の永遠に多大な影響を及ぼす事になるなんて……
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

226人が本棚に入れています
本棚に追加