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「ちょっと待てや黒髪ロング。」
「罵倒が来ると思ったらただの特徴ね、怒りも湧かないわ。」
「悪いがお前とシイとかいう奴の都合に振り回される気はねーんだよ、さっさと帰らせてもらうぞ?」
立ち上がり、拳を握る。女に手を上げるのは信念に背くけど、俺には帰らないといけない理由がある。
だが黒髪ロングは慌てる事なく口を開く。
「もう一つ、冬夜に椎から伝言があるわ。大沢裕理に会いたいなら大人しくしてろ、だそうよ?」
「っ!?裕理も、幻想郷に来てるのか?」
「さぁね、私は椎の言葉をそのまま伝えただけよ。」
拳を下ろす。もしその言葉が本当なら、俺はここを離れる訳にはいかない。
それを見た黒髪ロングは余裕たっぷりの笑顔を浮かべていた。あー叩きたい。
「ようこそ幻想郷へ、そしてようこそ永遠亭へ。私の名は蓬莱山輝夜、これから冬夜の雇い主となる者よ。」
こうして、俺の幻想郷での暮らしが始まった。それがどんな未来を招くのかは、まだ俺は知らなかった。
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