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でも、彼は一体何者なんだろう。
未だかつて私は、スーパーで片手に牛乳を持って、カロリーについて吟味している男の子を見たことがない。
彼は一体…。
「多分、“牛乳一番”ってやつが一番おいしいと思いますよ…。」
私はなにかしら返事をしようと、私が持ちうる牛乳に関しての唯一の知識を彼に伝えた。
「あ、そうなの。いいこと聞いちゃった。ありがとうね!」
「いえ、そんな…。」
彼はカゴに“牛乳一番”と書かれた牛乳パックを、5本程詰め込み、バイバイと言って去っていった。
牛乳、買いすぎ…。
私は彼の背中を見つめたまま、立ち尽くしていた。
あぁ、やだ。ドキドキしてる。
名前も、年齢も、学校も、なんにも知らない彼に、ドキドキしてる。
騙されるな、子夏。これは恋なんかじゃない。
これは…、妄想だ。
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