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「なーに、話してんの。お二人サンは。」
「あ、千恵子。」
「ちえちゃーん!」
スラリと長い足をスカートの裾から覗かせ、千恵子が歩いてきた。
「ハルコがね、出会いないんだって。」
「ふ~ん?しょうがないじゃん。女子校なんだから。」
そう言ってフワリと足を組んでイスに座った。
クールでサバサバした千恵子は、いつもさらりと的確なことを言う。
「くっそー!このリア充め!」
「うん。ごめんね。彼氏いてごめんね。」
「うっぜーーー!!」
毎日、たわいのない会話を繰り広げながら過ごす、たった1時間の昼放課。
今日は、窓から見える空が、気持ちよく流れている。
出会い…か。
恥ずかしながら私も、高校生になれば自然と彼氏が出来るもんだと思ってた。
女子校に通う女子高生なんて、男子高生の憧れ的存在なんだと、残念すぎる勘違いをしてた。
“女子高生”ってブランドに、夢を見ていた私は、未だに恋を知らない。
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