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幸雄は頭に巻いていた[金村建設]のタオルを取り、真子に抱きついた。
「パパー煙草臭いょー」
「あっ…ごめん!」
鼻をつまみながら鼻声の真子に指摘された幸雄は真子から離れ台所の蛇口から水をだし口をゆすいだ。
「朝ご飯食べよっか。」
気を取り直し、幸雄は真子を抱き上げキッチンテーブルの椅子に座らせた。
幸雄も二人分のご飯を茶碗によそい、向かい合って座り声を合わす。
「いただきます!」
「パパ昨日、何時に帰ってきたの?」
ベーコンをマヨネーズにタップリぐらい付けて、真子が聞く。
「昨日は夜の一時ぐらいかなぁ…。ごめんね。」
「夜の一時かぁ…。かねむらのおじちゃんが帰らしてくれへんかったの?」
「そうやねん。金村のおっちゃん怖いから…。」
幸雄が勤務している金村建設の社長である金村義明も六歳になったばかりの真子にメロメロで、「真子スティッチが好きー!」と聞けば誕生日にはスティッチのパジャマ、ぬいぐるみ、文房具セットを真子に買ってくれた。
口をご飯と卵で丸く頬張らしながら、怒った口調で、
「じゃあ真子がかねむらのおじちゃん怒っとくね。」
(金村さんまた喜ぶな…)と思いながら食べ終えた自分の食器を片づけはじめた。
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