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朝8時、
保育園に行く準備を終え家を出る支度をする。
「お母さん行ってきます。」
真子が玄関の靴箱の上に置いた花を添えた横にある真弓の写真立てに声をかけた。
妻だった真弓は去年の六月、買い物から帰る途中、歩道に突っ込んできた軽トラを避けきれず帰らぬ人となった。
軽トラックのドライバーは飲酒運転だった。
写真は「お母さんが早く[おかえり]って言えるように」と真子が置いた。
それ以来、幸雄と真子の二人暮らしとなった。
社長の金村は一番親身になり、一番、妻の死に涙してくれた。
だから出勤も真子を送ってから、というのを提案してくれた。
妻を亡くし、生きる希望を失った幸雄を助けてくれたのは、金村だった。
今は愛する真子の為に必死で働いて行こうと決めた。
しかし妻が亡くなったとき大泣きしていた真子は泣かなくなった。
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