田中幸雄①-家族-

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外は春の陽気が心地よかった。 マンションの前にある駐車場の脇には桜が枯れ始め、まだ枯れてたまるかと春風を受けても尚、数枚の花びらは咲き誇っていた。 愛車のボクシーの助手席に真子を乗せ、ブレーキを踏みエンジンをかける。 ラジオが流れてくる。 「皆さん、おはようございます!たった今八時五分を回ったところですね。DJケンシンがお送りする、爆音ラジオ!続いてのリクエストは懐かしいですね~…。ではお聞きください。BOOWYでMARIONETTO!」 懐かしくも新鮮な音楽が流れてくる。 「あぁーこれしってるー!かねむらのおじちゃんが歌ってたー!」 「よく覚えてるなぁー。」 「前カラオケで歌ってたー!」 金村の十八番、お世辞でも上手いと言えないMARIONETTOが何度、自分を救ったことか。 真弓が亡くなったときも泣きながら金村さんがMARIONETTOを歌ってくれた。 気づけば、僕も涙を流し歌っていた。 車を走らせ幼稚園へ向かう。 MARIONETTOを口ずさんでノリノリな真子を見て微笑みながら。
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