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真子を送り、仕事場に着くと後輩の阿部君と吉川君が事務所の前の自動販売機にお金を突っ込んでいた。
「おはよ~。」
「あっ、おざっす幸雄さん。」
先に気づいたのは阿部君。
身長も体格もいいが顔だけがポッチャリしている。
本人曰く、「二十歳超えてビールが旨くなったせいっすよ!」だそうで。
阿部君も真子にメロメロで、先月の花見大会でも真子を膝に座らせ、ずっと面倒を見ていてくれた。
気さくな性格で誰とでも仲良く出来る阿部君の魅力もあってか真子もなついている。
「幸兄おはようございます。」
ゆきにい。と僕の事を呼ぶ木下君は少しだけshyな18歳。
学校に行っていれば今頃は高校三年生だが、彼は15の時から金村建設に勤めている。
「今日の現場あれらしいですよ。十三(じゅうそう)!」
缶コーヒーを自動販売機から取り出した阿部君が鼻息荒く言う
。
「十三かぁ…。それ金村さん情報?」
「そうすよ。木下が社長に直接聞いたんすよ。僕だけ現場残置してもいいですよ。」
笑いながら阿部君が言う。
十三は大阪のピンク街が多い土地だ。
三人で煙草を吸っていると金村さんが事務所から出てきた。
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