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もう何もかも、どうだっていい。
「痛み」が入っている箱を積み上げる手を止めて、下を見る。ここから見る人間はやけに小さく見えた。今まであんなに悩んでいたことも、最早どうでもよく思える。愛だの恋だの、もうそんなものは俺には関係ない。あんな苦しいだけのもの、もういらない。そう、もういらないんだ。
これは逃げだということは分かっている。だけどもう、手を止めることができない。ひとりだったら、傷付くことも期待を裏切られることもない。もう今までたくさん悩んで苦しんできた。もう充分じゃないか。ひとりがいい、ひとりでいたいんだ。
「ばいばい、 」
もう呼ぶことはないだろう名前を小さく呟いて、また「痛み」を積み上げる作業を再開した。
塔は積み上げられる
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