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大切なあの子を不安にさせないためなら、俺はなんだって出来るような気がするんだ。だってほら、愛は勝つって言うでしょ?君の為に出来ることはなんでもするから、そんなに不安そうな顔をしないで。
「免許…?」
「うん。これでいつでも会えるね」
俺が免許証を掲げてみせると、知念は目を丸くして何度か瞬きをした。少し間を置いてから、じわりと涙が滲み始める。予想していなかったリアクションにびっくりして、とりあえず頭を撫でてみたら腰に思い切りタックルされた。いや、タックルのような勢いで飛びつかれたというべきか。
「いつの間に…」
「前からこっそり自動車学校に通ってたんだ」
免許を取ることは、前から考えていた。大学生になるなら免許を取っておいた方が何かと便利だというのも理由のひとつだ。
だけど1番の理由は卒業が近付くにつれて知念が不安そうな顔をする回数が増えたこと。可愛い知念に、そんな顔をさせるのは嫌だから。
車があれば知念が寂しい時いつでも会いに行くこともできるし、少し遠い場所までドライブしに行くことだって出来る。
ねえ知念、俺が大学生になっても俺達の関係は何にも変わらないんだよ。声に出さずに心の中でそう語りかけて、また知念の頭を撫でる。せっかく免許を取ったその足で会いに来たんだし、このシチュエーションを活用しない手はない。
「早速ドライブデートでもする?」
「…うん!」
ようやくいつもの笑顔が見れたことに安心して、俺も笑う。車内に隠してある指輪をいつ渡そうか悩みながら、とりあえずベタに綺麗な夜景でも見に行こうと決めた。
End
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