第1章

4/20
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
―カズノリ 俺の発した言葉が脳のなかで木霊する。ハッとして顔を上げた。視界に映ったのはなんと教室だった。皆が席についており、妙に静かだ。 夢? クラスメイトは皆机に突っ伏していた。見慣れない光景だ。いつも勉強熱心だった生徒さえ寝ている。 俺はいままでなにをしていたかを考えてみた。 確か、教室にはいなかったはず・・・。 しかし今は教室で寝ていた。夢だったのだろうか。辺りを見回す。周りには先生はおろか、俺以外起きている生徒がいなかった。 俺は…?俺の記憶は何故か飛んでいた。なにをしていたか、全くわからない。 俺は意味がわからず、立ち上がった。生徒達は全く起きる気配がない。寝ているのか、はたまた生きているのかさえも定かではない。とりあえず、カズノリを起こそうと窓際に向かった。 「!?」 俺は立ち尽くした。そして凝視する、窓の外を。 「なんだあれ!?」 俺は窓に駆け寄り、勢いよく窓を開け放った。遥か上空に見える曇った空。その下には、学校を囲むように百、いや高さ百五十メートルはある壁が建っていた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!