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ちょっと長めの茶色い髪が、窓から入る太陽の光で反射して、キラキラしてる。
まるで、あの人のオーラを表しているみたい。
演奏が始まると、周りの女の子たちの歓声(と呼んでいいのかな?)が大きくなった。
そのせいで、演奏がほとんど聞こえなくなってしまう。
「はぁ…」
私は目立たないように、今日何度目かのため息をついた。
―――………
そばにあった木にもたれながら座り、空を見上げる。
ここは裏庭…らしい。
こんなとこもあるんだ、と改めて感心する。
私は、音楽室から逃げるように出てきて、今、ここに居る。
あの雰囲気に馴染める自信がなかった。
というか、馴染みたくない…。
私はただ純粋に音楽を楽しみたいんだ。
私の中学校には、珍しいことに吹奏楽部がなかった。
だから、ずっと、ずーっと憧れていた。
それなのに…、あんな雰囲気…。
楽しみにしていたはずなのに、今はやりたくないって思ってる。
「…やっぱり入部するの辞める」
私は、誰に言うのでもなく、そう呟いた。
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