高校生活

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学校につき、俺と先輩は隣を並んで歩く。 片方は学校一の美形で生徒会長様。 片方は学校一の怠け者で平凡な少年A。 俺と先輩は、全く違う。 だから、本当は横を並ぶのも嫌だ。 ただ、俺が誇れるのは先輩より身長があることくらいだ。 それ以外は互角か負けているかだ。 「先輩。あそこに見知らぬ生徒がいますよ。」 「そうだな。」 「きっと、編入生ですよ。」 「どうでもいい。」 「そうですか。おっと、俺はあっちなんで、また夜に。」 「ああ。そうだったな。昼にでもいってやる。」 「こないで下さいよ。面倒ですから。俺の迷惑ですから。」 いつもと変わらないあいさつをして、俺は教室に向かう。 行く途中に先輩の族の下っ端の方々に挨拶をされたけど…まだ、慣れるには時間が必要かもしれない。 「尊。おはよー」 教室の扉を開けるとそこには、クラスの唯一の話し相手である花坂緑(カサカリョク)が俺に手を振っていた。 緑の席は俺の前で授業中にたまに話しかけて来たりする。 面倒ではあるが、いいやつなのでまぁ、気にしない。 いや、本当はそんなこと考えること自体面倒だから気にしない。 「尊は知ってる?編入生がくるんだって。」 「へぇ、それは良かったな。どうでもいいから寝る。」 俺は、机の上に突っ伏して目を閉じた。 俺には秘密がある。それは一つではなく、かなりの量。 その中で今一番やばいのがばれたら俺はこの学校から退学させられるだろう。 俺が、此処で唯一の情報屋紅だということは、一番バラしてはいけない秘密だ。 「…と、尊!電話鳴ってるよ」 「んぁ、どの携帯?」 基本的に携帯を3つもっている俺はどれがどの携帯の着信音かなんて覚えていない。 そういうときに緑はかなり役立つ。 「赤い携帯の着信音だよ。」 俺が突っ伏してから記憶を飛ばしていると気付けば二時間目の授業が始まっていたようだ。 俺は、赤い携帯といわれて、左胸ポケットの黒い携帯と鞄の中の白い携帯。それから、サブバックの中の赤い携帯を取り出した。 ……
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