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暴力
サトババは
とにかく暴力教師だった
小学5年生を自分の思い通りに動かすのは簡単だったと思う。
山下くんがそうだったように
みんなも次第にサトババが命令せずとも積極的にサトババが望む行動を起こせるようになった
私が子供ながらにそう思ったのは
『金魚の水槽事件』だ。
私たちのクラスは唯一の生き物
金魚だかメダカを飼っていた。
水槽も大きめで水草も入れてあった
水槽は私たち生徒から見て教壇のある位置から右の壁面に置いてあり、授業中も水槽が見れた
その日もいつも通り
サトババの授業が行われていて
詳しい問題の内容は忘れてしまったが
サトババが何かの問題を出した
まずは、ある女の子に当てた
その子は顔がこわばって、焦り目を大きく見開いていた
サトババはそんな彼女を見て言った
『このナマズが!!』
『顔がヌボーっとしてナマズなんだよ!』
『これからおまえはナマズだ』
と怒った
そして次は
真ん中最前列に座る大人しいタイプの男の子に当てた
クレヨンしんちゃんのボーちゃんみたいな子であまりしゃべらない
その子に問題を当てたのだ
ボーちゃんも
焦り言葉が出て来ない
声がどもってしまっていた
最初の女の子と続けての事だったので
サトババは生徒を許せなかったのだろう
どんどん怒りをあらわにし
『このノロマ野郎!!』
ボーちゃんを何度も罵倒した
それでも怒りおさまらずのサトババは
ボーちゃんの机をつかんだかと思うと
机をそのまま左側にふっ飛ばした。
その時である
バリーンっと大きな音を立てた
例の
“”金魚の水槽”
に思いきりぶつかり
水槽が割れたのである
水や金魚やメダカやらが
ぶゎ~と割れた所から教室に流れ出た
床は一瞬にして、びちゃびちゃになり
魚たちがピチャピチャと飛び跳ねていた
サトババは気が済んだのか自分のイスに座った
前例の子たちが自ら雑巾を持ってきて掃除を始めていた
それを見てクラス中が掃除を始めた
金魚が死んでいくのを悲しむ時間なんてなく
皆『早く片付けなくては』
と金魚に対して無情に
あっという間に片付け終わらせた
そして
金魚の水槽は5年1組のクラスから消えたのである。
サトババは一切片付けを手伝わなかった。
ゆうゆうと生徒が
金魚を始末するのを見ていたのである
サトババは独裁者だった
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