138人が本棚に入れています
本棚に追加
「誰かっ、誰かいないのか!」
腰は引け、膝も震えていてとても情けない。
ただ、誰かを呼び自分ではない誰かに少年を助けてもらおうと要請した。
------だがその声も空しく、少年に構わずあたりの人は逃げて行くばかり。
その時、ちょうど少年のか細いすすり泣きが聞こえた。
「ぐすっ、痛いよぉ~、お母さん・・・」
どうやら母親とはぐれてしまったらしい。
(くそ、誰もいないのかよ・・・)
男は自分のありったけの勇気を振り絞り、大通りへ走る。
そして、少年の元へ駆けつけると
「大丈夫か!坊や!」
と平静を装いつつ声をかけた。内心はとてもドキドキだったであろう。
子供を抱え上げてさっきの裏路地へ逃げようとした瞬間、目の前に見た事もない怪物が立っていた。
見た目はまるでコウモリのような怪物。
全身が汚い紫色で、とても気色が悪い。
思わず全身が固まった。
最初のコメントを投稿しよう!