プロローグ

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四月五日、月曜日。 時刻は現在、午前四時前。 まだ日も出ていない閑静な住宅地に、どこからか男性の悲痛な叫び声が発せられた。 「こんなの嘘だぁぁぁ!」 「うるさい! ご近所の迷惑でしょう」 玄関先で姉らしき女性に叱られる少年の手には、毎朝届けられる新聞と新学期ごとに送られる学校からの茶封筒があった。 封筒の中身は紙が数枚入っているだけなのだが、その紙に書かれていた内容は彼の今年一年を左右するものであった。 【二年 養成科 内藤兵志(ナイトウ ヘイシ)殿 今年の主は二年 主科 最上姫香(モガミ ヒメカ)様となります 本日の午前七時三〇分、次の指示された場所へおこしください】 兵志は紙を見るなり、今年最大の溜め息を吐きながらつぶやいた。 「なんで学内最強の異名を持つ女が僕の主なんかに……」
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