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四月五日、月曜日。
時刻は現在、午前七時二五分。
十分前行動が当たり前の生活を一年間してきたおかげで、兵志は遅刻せずに余裕を持って指示された場所にいた。
「さて、あと五分か……」
学内最強の異名を持つ少女、最上姫香を兵志は今まで見たこともなかった。
たまに噂で聞くのは、猛獣を倒したとか敵を肉弾戦で圧倒したとかその名に恥じない見事な武勇伝。
兵志の想像上では、きっと彼女は筋肉隆々の戦士であろう。
期待よりも不安のほうが数倍勝り、今すぐにでも帰りたい気持ちを抑えること数分、時刻は約束の時間となった。
辺りを見回すと、遠くから一台のリムジンがやってくる。
黒塗りのボディーを光らせてリムジンは兵志の目の前で止まり、運転席から女性が一人降りてきた。
そうして女性が後方のドアを開けると、兵志は目の前の光景に驚いてしまった。
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