第三話 お姫様とお嬢様

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玲奈はそう言って立ち上がると、兵志に背を向けて帰ろうとした。 「でもよ、姫香が臣成のことを嫌っていることぐらい知っているだろ?」 「ええ、もちろん」 足を止め、振り向かないまま兵志の質問に答える玲奈。 「だったら、どうして?」 「どうして、か……」 少しうつ向き、玲奈はこう言った。 「私はたぶん、あんたを取り返したいんだと思う」 「はあ?何だよそれ。だったら、どうして次年度要請用紙に書かなかったんだよ?」 「どうしてだろうね。あの時はそんなこと、これっぽっちも思わなかったのに……」 少し寂しそうにつぶやく玲奈の背中を、兵志はただ眺めるしかなかった。 「まあ、良いわ。どうせゴールデンウィーク明けには、あんたが私の相方になるんだから」 「それじゃ、私帰るよ」 手をヒラヒラさせて、玲奈は公園を後にした。
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